困った。  比喩ではなく、うさぎは本当に頭を抱えていた。  目の前に広がっているのは戦いの成果、自分の愛すべきボーグ達。 そしてその、変わり果てた姿だった。  手を舐めて顔を洗うもの、丸まって寝てるもの、 あくびをしてるもの、そしてその全てに耳と尻尾が。  「な、何なのよこれわー!!」 自分の部屋の入り口でへたり込んだまま、とりあえずずるずると中に入り 外に出ようとした猫コマガを拾い、部屋の中に入ってドアを閉めた。  バタン  これでとりあえず逃げ出す事はない、か。 少し落ち着いたので改めてまわりを見てみる。 自分の尻尾を追いかける犬コマガ、丸まって寝ているガード兎 逆さにぶら下がっているバンパイア蝙蝠(これはあたりまえか) シリウスに至っては鯨バリに潮を吹いている。 確か昨日野良のデスボーグの一群を倒して何体か新しいボーグをゲットしたんだよね。 で、とりあえず学校から帰ったらコウにでも聞こうと思ってガチャボックスの入れといたんだよね。 あれかな? あれだよねー。 で、逃げたんだよねーきっと。 そう言えばケイは? そう思って立ち上がったら、ケイは帽子から目に出す穴をつけて羽を生やしていた。 口のあたりにあるつばは嘴のつもりらしい。 説明する気がないのか、静かに羽を繕っている。  仕方ない、とりあえず落ち着こう。 両手には遊んでオーラを発しながらじゃれ付いてくる鯖娘たちを適当にあしらいながら、 これからどうすれば良いか考えてみた。  マナ呼んでコウ呼んで治してもらってコウに原因を倒してもらおうかな。  「マイマスター!それには及ばん!!」 目の前におりてきたのは青い物体。 「この謎の新型ウィッチ、これが原因だ!!」 手には同じようにネコミミ・シッポの杖持ったウィッチが首根っこを捕まえられてじたばたしている。 「この、怪しげなボーグは思考パターンまでおかしくする嫌なボーグだ、それで皆おかしくなった。」  うさぎはもうそんな事、どうでも良くなっていた。 やばい、我慢できない  「でも大丈夫だ!この私のスーパーアーマーは多少ダメージは来たが、 思考は問題なく何とかこいつを捕まえる事に成功した。」  プ…クク… 「さあ、こいつをボックスに入れて、  マスター?」 青い姿のそいつは頭をかしげた。      も               う                     ダ                       メ                          !  「あぁーははははははははははははははははははははははははは!!!」  腹を抱えて笑う主人のそばに降り立つのは ゴツイその姿に無理やり真っ赤のバニースーツを着ている サイバーアトラスの雄姿である。  首をかしげるたびにふわふわと揺れる ウサギ耳が何となく寂しそうだった。